骨盤底筋体操について(治療について)
骨盤底筋体操について
子供を産んでから尿漏れを起こしてしまう。
だれにもなかなか相談できない。
なんとなくトイレが近い気がする。
そんなお悩みありませんか?
目次
1.はじめに
骨盤底筋体操は、普段あまり意識することのない「骨盤底筋」を鍛えるためのトレーニングです。しかし、この筋肉は女性の健康や日常生活の質に大きく関わる、とても大切な存在です。

骨盤底筋とは、骨盤の底でハンモックのように広がり、膀胱・子宮・直腸などを支えている筋肉のことです。尿道や膣、肛門をしっかり支える役割があり、この筋肉が弱くなると、尿漏れや頻尿、骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)といったトラブルが起こりやすくなります。
特に、出産を経験した方や加齢による筋力低下がある方に多くみられますが、適切なトレーニングを続けることで改善が期待できます。
骨盤底筋を鍛えることで、咳やくしゃみをした時の尿漏れ予防につながり、外出時の不安を減らすことができます。また、姿勢の安定や性生活の質の向上、中長期的な健康維持にも役立つとされています。
さらに、骨盤底筋体操は特別な道具が不要で、自宅や職場など場所を選ばず手軽に続けられるのも大きなメリットです。忙しい毎日の中でも取り入れやすく、無理なく習慣化しやすい健康法といえます。
この記事では、骨盤底筋の基礎知識から、正しいトレーニング方法、続けるためのポイントまでわかりやすくご紹介します。毎日の生活をより快適に、自信を持って過ごすための第一歩として、ぜひ参考にしてみてください。
膣ヒアルロン酸についてはこちらをご参照ください。
2.骨盤底筋の解剖学
骨盤底筋群は、骨盤の底部に位置し、尿道、膣、直腸などの骨盤器官を支え、制御する重要な筋肉の集合体です。この筋肉群は主にレバトールアニ筋と呼ばれる複数の筋肉から構成されており、それぞれが特異的な機能と役割を担っています。これらの筋肉は、内臓を支えるハンモックのような役割を果たし、排泄や性行為といった基本的な生理機能の調節にも関与しています。

骨盤底筋の健康は、全身の健康に直接的な影響を及ぼします。例えば、この筋肉群が弱化すると、尿失禁や骨盤器官脱(器官が本来の位置からずれる状態)などの問題が発生しやすくなります。これは、特に出産を経験した女性や高齢者に多く見られますが、男性においても前立腺手術後の尿漏れなどに影響することが知られています。
骨盤底筋の機能不全は、日常生活の質に大きな影響を与えるだけでなく、心理的なストレスや社会的な引きこもりを引き起こすことがあります。そのため、これらの筋肉を適切に鍛え、維持することは、生活の質を向上させ、より活動的な生活を送るために不可欠です。
骨盤底筋を強化し、健康を維持するための最良の方法の一つが骨盤底筋体操です。これには、特定の筋肉を意識的に収縮させリラックスさせることで、筋肉のトーンと耐久力を向上させるエクササイズが含まれます。骨盤底筋体操を定期的に行うことで、尿漏れの予防、性機能の向上、そして全体的な健康状態の改善が期待できます。
これから紹介する具体的な骨盤底筋体操を通じて、自身の骨盤底筋の健康を効果的に管理し、改善する方法を学べるようになることを目指しています。各種トレーニング方法の詳細な説明とともに、それらがどのように日常生活に役立つかを解説し、読者が実生活で直面するかもしれない具体的な問題に対処するための実践的なアドバイスを提供します。
膣ヒアルロン酸については、こちらもあわせてご覧ください。
3.骨盤底筋の衰えで起こる症状
骨盤底筋が弱くなると、さまざまな不調があらわれることがあります。特に多いのが「尿漏れ」と「骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)」です。
骨盤底筋は、膀胱・子宮・直腸などの臓器を下から支える役割があります。この筋力が低下すると、臓器をしっかり支えられなくなり、日常生活に支障をきたす症状が出やすくなります。
尿漏れ(尿失禁)
くしゃみや咳をした時、笑った時、重いものを持ち上げた時などに、思わず尿が漏れてしまうことがあります。これは「腹圧性尿失禁」と呼ばれ、骨盤底筋が腹圧に耐えきれずに起こるものです。
また、急に強い尿意を感じてトイレに間に合わず漏れてしまう「切迫性尿失禁」もあります。こちらも骨盤底筋の機能低下が関係している場合があります。
骨盤臓器脱
骨盤臓器脱とは、子宮や膀胱、直腸などが本来の位置から下がり、膣の入り口付近まで下垂してしまう状態です。
「何かが下がってくる感じがする」「膣に違和感がある」「下腹部が重い」「排尿しづらい・残尿感がある」などの症状がみられることがあります。
特に出産後や更年期以降に起こりやすく、放置すると症状が進行することもあります。
ご自身で気づくためのチェックポイント
骨盤底筋の衰えは、早めに気づくことが大切です。以下のような症状がないか確認してみましょう。
- 咳やくしゃみで尿が漏れる
- 急に強い尿意を感じることがある
- 下腹部や膣に違和感や圧迫感がある
- 何かが下がってくるような感覚がある
- 排尿や排便がしにくいと感じる
こうした症状がある場合は、骨盤底筋の衰えが関係している可能性があります。
ただし、自己判断だけでは正確な診断はできません。気になる症状がある場合は、早めに婦人科や泌尿器科で相談することをおすすめします。適切な診断と治療によって、症状の改善が期待できます。
4.骨盤底筋体操の具体的な方法
骨盤底筋のトレーニングは、健康的な日常生活を支える基礎となります。
初心者向け基本エクササイズ
・ケーゲル体操(骨盤底筋の収縮とリラックス):
- 目的:骨盤底筋群の意識向上と筋力強化。
- 方法:座った姿勢、立った姿勢、または仰向けに寝て行います。骨盤底筋を緊張させ、3〜5秒間キープした後、ゆっくりとリラックスします。この一連の動作を10回繰り返し、日に3セット行います。



・ブリッジリフト:
- 目的:骨盤底筋だけでなく、下半身の安定性向上。
- 方法:背中を地面につけて仰向けになり、膝を曲げて足は肩幅に開きます。骨盤底筋を緊張させながら、お尻を持ち上げて腰を浮かせます。上部で3秒間保持し、ゆっくりと元の位置に戻します。10回実行します。
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応用エクササイズ
・スクワット:
- 目的:骨盤底筋のほか、大腿四頭筋やハムストリングスの強化。
- 方法:足を肩幅よりやや広く開き、つま先は少し外側に向けます。背筋を真っ直ぐ保ちながら、腰を下げていきます。この時、骨盤底筋に意識を置き、深く腰を落とした位置で2〜3秒間保持してから、元の位置に戻ります。10回繰り返します。

正しいフォームで行うことが非常に重要であり、不明な点があれば専門のトレーナーに相談することをお勧めします。始めは簡単な動作からスタートし、徐々に応用的な動作へと進んでいくことで、効果的に骨盤底筋を鍛えることができるでしょう。
5.よくある質問
Q1: 骨盤底筋体操はどれくらいの頻度で行うべきですか?
A1: 骨盤底筋体操の推奨頻度は、個人の健康状態や目的によって異なりますが、一般的には1日に3回、各セッション10回の収縮を行うのが効果的です。毎日継続することが重要であり、週に数回から始めて徐々に頻度を増やしていくことが推奨されます。
Q2: 骨盤底筋体操は男性にも必要ですか?
A2: はい、男性にも非常に有益です。男性の場合、骨盤底筋の強化は前立腺手術後の回復を助け、尿失禁のリスクを減少させる効果があります。また、性機能の向上にも寄与するため、全ての年齢層の男性に推奨されます。
Q3: 骨盤底筋が弱いかどうかを自分でどうやって知ることができますか?
A3: 骨盤底筋が弱い兆候には、尿漏れ、頻繁な尿意、排尿時の違和感などがあります。自己診断の一環として、ケーゲルエクササイズを試みる際に骨盤底筋を感じることが難しい場合は、筋力が低下している可能性があります。このような症状が見られる場合は、医療提供者に相談することをお勧めします。
Q4: 骨盤底筋体操は妊娠中にも安全ですか?
A4: はい、妊娠中でも骨盤底筋体操は安全であり、実際に推奨されています。これにより、出産時の骨盤底筋の損傷リスクを低減し、出産後の回復を促進することができます。ただし、体操の種類や強度については、妊娠の進行具合に応じて医師と相談することが重要です。
Q5: 骨盤底筋を鍛えると性生活にどのような影響がありますか?
A5: 骨盤底筋の強化は、性的快感の向上に寄与することが知られています。特に女性の場合、骨盤底筋が強化されると膣の圧迫感が増し、これが性交時の感覚を高める可能性があります。男性では、射精のコントロールが向上することが報告されています。
日々の努力で改善される筋肉です。
みなさんも通勤時間やトイレの間など、少しトレーニングを加えてみませんか?
更新日:2026.04.20
監修医情報
院長 産婦人科専門医
干場 みなみ
日本赤十字社医療センター 勤務
国立国際医療研究センター 勤務
リプロダクションクリニック東京 勤務
まきレディースクリニック、biotopeクリニックを経て2023年12月開業に至る。
女性ヘルスケア学会
性感染症学会
日本生殖医学会