治療について
HRT(ホルモン補充療法)徹底解説:更年期と健康管理
更年期は、閉経をはさんだ約10年間(45~55歳頃)のことをいい、すべての女性に訪れます。更年期を迎えると、多くの女性にあらゆる症状が現れ、つらい症状を訴えるケースも少なくありません。症状にお困りのときは、我慢せず早めに医師に相談し、治療を始めることができます。更年期障害の治療法には運動・食事療法、漢方、プラセンタなどのほか、ホルモン補充療法(HRT)が行われています。
目次
HRTとは
HRT(ホルモン補充療法)

HRT(ホルモン補充療法)は、主に更年期に入る女性を対象とした治療法であり、体内のホルモンバランスを調整し、更年期に関連するさまざまな症状を緩和することを目的としています。この治療は、主にエストロゲンとプロゲステロンの補充によって行われ、ホットフラッシュ、睡眠障害、気分の変動、性欲減退などの症状に対処します。
HRTの実践は、20世紀中頃から始まり、その安全性と有効性について長年にわたり研究が続けられています。当初は更年期症状の緩和が主な目的でしたが、後の研究で骨粗鬆症の予防など、他の健康上の利点も明らかになりました。しかし、HRTには一部の女性にとって乳がんや心血管疾患のリスクをわずかに増加させる可能性もあることが指摘されており、治療を受けるかどうかは個々の健康状態やリスクを考慮した上での判断が必要です。
このようにHRTは、更年期に伴う様々な症状の緩和を目的としていますが、利用する際にはメリットとリスクを十分に理解し、医師と相談の上で適切な治療計画を立てることが重要です。今日では、個々の患者のニーズに応じたさまざまな形態のHRTが提供されており、より安全で効果的な治療法の開発に向けた研究が続けられています。
更年期とその症状
更年期
女性が生涯に渡って経験する自然な過程であり、通常は45歳から55歳の間に発生します。
この時期は、女性の生殖システムが徐々に活動を停止し始めることを特徴としています。
更年期の最も顕著な生物学的変化は、卵巣がエストロゲンとプロゲステロンといったホルモンの産生を減少させることです。このホルモンの減少は、多くの身体的および心理的症状を引き起こすことがあります。
症状
更年期に伴う一般的な症状には、ホットフラッシュ、夜間の汗、睡眠障害、気分の変動、不安、集中力の欠如、性欲の減少、膣の乾燥、尿漏れなどがあります。これらの症状は、女性によって異なる強度で現れ、更年期の期間を通じて持続することがあります。
女性がこの生活の変化期に自分自身をケアする方法を学ぶ上で重要です。適切なライフスタイルの変更、栄養、運動、ストレス管理技術、そして必要に応じて医療介入を含む包括的なアプローチが、更年期の症状の管理に有効です。
HRTの種類と方法
HRT(ホルモン補充療法)には、経口摂取、パッチ、ゲル、インプラントなど、様々な形態があります。
経口摂取
最も一般的な方法で、日常的にホルモンを含んだ薬を服用します。
経皮パッチ
皮膚に貼り付け、一定期間にわたってホルモンを体内に放出します。
経皮ゲル
皮膚に直接塗布し、ホルモンを吸収させる方法です。
インプラント
皮膚下に小さなペレットを挿入し、数ヶ月にわたってホルモンを放出します。各方法は患者のライフスタイル、好み、医療のニーズに応じて選択されます。
適切なHRTの形態を選択することで、更年期症状の管理と生活の質の向上が期待できますので、気兼ねなくご相談ください。
HRTの適応
HRT(ホルモン補充療法)は、特定の状況下にある更年期を迎えた女性に推奨されます。これには、更年期の早期症状が重度で、日常生活に影響を与えている場合や、骨粗しょう症のリスクが高い人が含まれます。また、早発閉経や卵巣機能不全を経験した女性にも適用されることがあります。
一方で、乳がん、子宮体がん、血栓症、未診断の出血、重度の肝機能障害などの既往歴がある場合はHRTの使用を避けるべきです。また、心血管疾患のリスクが高い人に対しても慎重な検討が必要です。
HRTは、個々のリスクと利益を慎重に評価した上で、医師との相談を通じて適切な候補者が選ばれます。個人の健康状態や家族歴、さらには生活の質への影響を考慮に入れ、最適な治療法の選択が行われます。
HRT開始前の準備と相談
HRT(ホルモン補充療法)を開始する前には、包括的な健康評価が不可欠です。
検査には、血液検査(ホルモン状態の測定)、乳がんスクリーニング(マンモグラフィ)、子宮頸がん検査などがあります。これらは、HRTが安全に適用可能かどうかを判断するために大切な項目です。
医師との診察では、更年期症状の種類と重さ、既往症、現在の健康状態、生活習慣、HRTに関する期待と懸念について患者様が安心できるようご説明させていただきます。
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