クラミジア感染症について(治療について)

クラミジア感染症について

クラミジアとは


クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという細菌によって引き起こされる性感染症(STD)の一種です。この感染症は、世界中で最も広く流行しており、特に性的に活発な若年層に多く見られます。クラミジアはしばしば「沈黙の感染症」と呼ばれることがあり、感染しても明確な症状が現れないことが多いため、知らず知らずのうちに他人に感染を広げるリスクがあります。無症候性であるため、定期的なスクリーニングを通じての早期発見と治療が非常に重要です。

クラミジアの感染が放置されると、女性では不妊症や外妊娠のリスクを高めることが知られています。また、妊娠中の女性が感染している場合、出産時に新生児に感染が広がる可能性があり、新生児の眼や肺の感染症を引き起こす原因となります。男性においては、尿道炎や上部尿路の感染症につながり、長期間の健康問題を引き起こすことがあります。

不妊治療に関してはこちらも併せてご参照ください。

クラミジアの原因


クラミジア・トラコマチスは、クラミジア感染症の原因となる細菌のひとつです。一般的な細菌とは少し異なり、人の細胞の中に入り込んで増殖するという特徴があります。

感染すると、まず「エレメンタリー体」と呼ばれる感染しやすい形で細胞の中に入り、その後「レチクラーボディ」という増殖しやすい形に変化して増えていきます。十分に増殖すると、再び感染力を持つ形に戻り、細胞の外へ出て別の細胞へと広がっていきます。

クラミジアの主な感染経路は性行為です。性交渉によって、性器・のど・直腸の粘膜から感染します。特に15歳〜24歳の若い世代で感染が多くみられ、性交渉の機会が多いことや、コンドームの使用が十分でないことが背景にあると考えられています。

また、クラミジア感染の大きな特徴は、自覚症状がほとんどないことです。知らないうちに感染しているケースも多く、気づかないままパートナーにうつしてしまうことがあります。

特に女性では、無症状のまま感染が長引くことで、子宮や卵管に炎症が広がり、不妊症や子宮外妊娠の原因になることがあります。妊娠中に感染している場合は、出産時に赤ちゃんへ感染し、新生児結膜炎や肺炎を引き起こすこともあります。

さらに、複数の性的パートナーがいる場合や、新しいパートナーとの性交渉が始まったばかりの場合、過去に性感染症にかかったことがある場合などは、感染リスクが高くなります。

クラミジア感染症は、早期に発見し治療することで重い合併症を防ぐことができます。症状がなくても、定期的な検査を受けることがとても大切です。自分自身の健康を守るだけでなく、大切なパートナーを守るためにも、正しい知識と予防を心がけましょう。

性感染症についてはこちらをご参照ください。

国立感染症研究所の倫理審査関連ファイルをダウンロードに掲載しました。 - J-HeST

クラミジアの症状と診断


クラミジア感染症は、その症状の非特異性や無症候性の性質により、しばしば未診断または誤診されることがあります。しかし、症状が現れた場合、その表現は男女間で異なることが多いです。

男性の場合、最も一般的な症状は尿道からの分泌物や尿する際の痛みです。また、睾丸の痛みや腫れが発生することもあります。これらの症状は一般的に性感染症の兆候とされ、早期に医療機関を受診するきっかけとなります。

女性の場合、症状はより曖昧で気づきにくいことが多いです。軽度の分泌物の増加や性交時の痛み、異常な出血、下腹部痛などがありますが、これらは他の婦人科系の病気と誤認されることもあります。女性では、無症候性の場合が多く、症状が全く現れないことも珍しくありません。

クラミジア感染が引き起こす合併症は、治療が遅れると重大な健康問題に発展する可能性があります。女性では、無治療の感染が子宮内膜炎、骨盤内炎症性疾患(PID)へと進行し、最終的には不妊症や外妊娠の原因となることがあります。男性では、クラミジアは尿道炎を引き起こすことが多いですが、エピディディミス(精巣上体炎)や慢性骨盤痛のリスクを増加させることもあります。

診断方法には、主に核酸増幅検査(NAATs)が用いられます。これはクラミジア・トラコマティスのDNAまたはRNAを検出する非常に感度が高く、特異性のある方法です。検体は尿や感染が疑われる部位からの拭き取り試料で採取されます。この検査方法は、極めて高い精度で感染を診断することが可能であり、無症候性のケースでも感染の有無を確定することができます。

現在、クラミジアのスクリーニングは性的に活発な若年層やリスクの高い個人に推奨されています。特に妊娠を希望する女性や新しい性的パートナーがいる人々には、定期的な検査が重要です。早期発見と適切な治療により、クラミジアによる合併症のリスクを大幅に減少させることが可能です。

クラミジアの治療方法


クラミジア感染症は、適切な抗生物質を使用することで比較的スムーズに治療できる性感染症です。治療の目的は、感染をしっかり治し、将来的な合併症を防ぐことにあります。

現在、よく使用される治療薬のひとつがアジスロマイシンです。一般的には1回で4錠をまとめて内服し、治療が完了します。比較的シンプルな治療のため、早期に発見できれば大きな負担なく治療を進めることができます。

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副作用としては、吐き気・下痢・腹痛などの胃腸症状がみられることがあります。まれに発疹などの皮膚症状が出ることもあります。アジスロマイシンは比較的副作用が少ない薬ですが、ごくまれに心電図に影響を与えることがあるため、持病がある方や他のお薬を服用している方は事前に医師へ相談することが大切です。

また、クラミジア治療では、ご本人だけでなく性パートナーも一緒に治療を受けることがとても重要です。どちらか一方だけが治療すると、再び感染してしまう「ピンポン感染」が起こる可能性があります。再感染を防ぎ、感染の拡大を防止するためにも、パートナーへの共有と同時治療が推奨されます。

治療後は、きちんと治癒しているかを確認するために再検査を行うことがあります。特に症状がなかった方は、自分では治ったか判断しにくいため、医師の指示に従って再検査を受けることが大切です。

クラミジアの予防策


クラミジア感染症は治療できる病気ですが、何より大切なのは「感染しないこと」です。予防のためには、正しい知識を持ち、日頃から意識することが重要です。

まず大切なのは、コンドームを正しく使用することです。性行為のたびに適切に使用することで、感染リスクを大きく下げることができます。また、性感染症について正しく理解し、自分自身を守る意識を持つことも大切です。

さらに、クラミジアは無症状のことが多いため、定期的な検査(スクリーニング)が非常に重要です。症状がないからといって安心せず、新しいパートナーができた場合や、複数のパートナーがいる場合は、年に1回程度の検査をおすすめします。

早期発見・早期治療によって、自分の健康を守るだけでなく、大切なパートナーを守ることにもつながります。少しでも不安がある場合は、早めに婦人科や泌尿器科で相談しましょう。

よくある質問


Q1: クラミジア感染はどのようにして気づくことができますか?

A1: クラミジア感染は多くの場合、無症候性であるため自覚症状に気づかないことが多いです。しかし、症状が現れる場合は、性器からの異常な分泌物、排尿時の痛み、性交痛などがあります。これらの症状が現れた場合、または新しい性的パートナーとの関係を持った後は、性感染症のスクリーニングを受けることを推奨します。

Q2: クラミジアはどのようにして治療されますか?

A2: クラミジアは抗生物質によって効果的に治療することが可能です。最も一般的な治療法は、アジスロマイシンの単回投与またはドキシサイクリンの7日間の服用です。治療は簡単で効果的ですが、全ての指示に従って完全な治療を終えることが重要です。

Q3: クラミジア感染が再発することはありますか?

A3: クラミジア感染は治療後に再発することがあります。これは、治療が不完全であったり、治療後に再び感染するパートナーとの性的接触が原因であることが多いです。感染を防ぐためには、すべての性的パートナーが治療を受け、適切な予防策を講じることが重要です。

Q4: クラミジア感染が未治療のままだとどうなりますか?

A4: 未治療のクラミジア感染は、女性では不妊症や外妊娠、骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こす可能性があります。男性では、尿道炎や精巣上体炎などの合併症を引き起こすリスクがあります。疑わしい場合は速やかに医療機関での診断と治療を受けることが推奨されます。

Q5: クラミジアはどのようにして予防することができますか?

A5: クラミジアの予防には、安全な性行為の実践が最も効果的です。コンドームの使用、性的関係の透明性の維持、定期的な性感染症のスクリーニングが予防に寄与します。特に新しいパートナーがいる場合や複数のパートナーがいる場合は、定期的なスクリーニングが非常に重要です。

作成日:2024.05.01
更新日:2026.04.19

監修医情報

院長挨拶
mimiレディースクリニック三越前
院長 産婦人科専門医

干場 みなみ

経歴
日本大学医学部 卒業
日本赤十字社医療センター 勤務
国立国際医療研究センター 勤務
リプロダクションクリニック東京 勤務
まきレディースクリニック、biotopeクリニックを経て2023年12月開業に至る。
所属学会
日本産婦人科学会
女性ヘルスケア学会
性感染症学会
日本生殖医学会

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